負けるもんか

がん・ぜんそくと闘う医師 前田恵理子さん 不屈の人生で「救いを」 患者へのメッセージ 

 医療の現場では、患者から親しみを持たれたり、応援されたりという思わぬ反応もあった。「ボンベを引いた私はどうみても患者さん側。他の医師らよりその気持ちが分かるという自負もあった」

 医学部6年生のときに出版した解剖学の教科書などが評価され、東大総長賞を受賞した。また、2006年には北米放射線学会で、世界中から寄せられた数千の教育展示の応募作から、当時日本人2人目となる最高賞に選ばれた。

 30代前半、ボンベを手放した。そして、結婚。6月には半生記「パッション 受難を情熱に変えて パート1」(医学と看護社)を出版。続編を書くことが前提のタイトルをつけた。

 不屈の人生は、医師としてのメッセージでもある。「病気になり、『何を、どこまでしていいのか』が分からずに引きこもり、つらさを感じている患者さんは多い。何かをあきらめずに私がやることで、救いを得る人もいる。自分の役割と思って、いろいろなことをどこまでできるかやってみたい。それは私だけができる医療です」(芦川雄大)

 まえだ・えりこ 昭和52年4月、神奈川県秦野市出身。東大医学部を卒業し、平成17年から東大病院で放射線科特任助教として勤務。27年に発覚した肺がんの治療を受けながら、診療にあたる。CT検査などによる放射線被曝(ひばく)が子供らに及ぼす影響についての研究も行っている。夫、長男との3人家族。

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