名作を見ながら「謎解き」に挑戦! 大阪市阿倍野区の「あべのハルカス美術館」で開催の「ラファエル前派の軌跡展」( https://prb2019.jp )で出展会場をまわりクロスワードパズルなどを解く「謎解きゲーム」が人気を集めている。美術館の「謎解き」は閉館後の特別イベントなどで開かれることが多いが、開催中、いつでもチャレンジできるのは珍しく、鑑賞を深めるアイテムとして若者からお年寄りまで幅広い層が挑んでいる。
■世界的ブーム「コト消費」…カギ握る「リアル世界」
ハルカス16階にある美術館。一般の観覧者と混じり、B4判の解答冊子をはさんだクリップボードの「謎解きキット」を手に作品を見ながら鉛筆でチェックを入れている女性が。会場内の椅子にかけて考え込んだり、作品以外の掲示物など、あたりも見回していた。「ある展覧会の奇妙な秘密」と題した「謎解き」に取り組んでいる女性で「解いているうちに時代や作者のことがわかり、見る目も変わる」と話していた。
謎解きは、自分の頭と体を動かしながら楽しめるのが特徴。観光地やショッピングモールなどの体験イベントとして広まり 参加者は謎の手がかりが示された参加キットを持ち、パズルやあてはめ問題、なぞなぞに回答することで、隠された手がかりをみつける。インターネット上のバーチャル空間で繰り広げられるゲームが隆盛する一方、若者らを中心にリアル世界の体験を求める機運が高まり、ここ数年で一気に人気が高まった。
ラファエル前派同盟は、イギリスの美術学校「ロイヤル・アカデミー」の教育方針に反発した若い画学生らが結成。作家らの自由な男女関係はスキャンダラスだが、それをも創作のエネルギーとしたことでも知られる。作品の批評家、ジョン・ラスキンの生誕200周年を記念して開かれた会場には、当時の家具やタペストリーなども展示、美術ファンだけでなく、手をこらした品々を一目見ようと訪れる人も少なくない。
今回の「謎解き」も、解き進んでいくと、作家らの複雑な人間模様と作品の関係がしのばれるなど、鑑賞を深める仕掛けがこらされている。解答までは1時間前後だが、会場内を行ったり来たりしながら約2時間かけて、作品の背景を楽しみながら解く人も。また、会場では、クラシック音楽も楽しめる音声ガイドのヘッドホンも520円で貸し出し、「謎解き」の前後に楽しめば、中世の英国美術史の一端をより詳しく知ることができそうだ。
「謎解き」をクリアすると、トートバッグなどをプレゼント。学芸員の新谷式子さんは「物質全盛のモノ消費から、学んだりする体験を大切にしたコト消費の時代。気軽に達成感を味わえる謎解きで19世紀の英国芸術界に触れてほしい」と話していた。
「ラファエル前派の軌跡展」は12月15日まで。開館時間は10時~20時(月曜・土曜・日曜・祝日は18時に閉館)。謎解きキットは1000円で観覧券も必要。問い合わせは、あべのハルカス美術館(電話06・4399・9050 https://www.aham.jp )。