主張

食品ロス削減法 できることを実行しよう

 飽食の日本にとって食品ロスを減らすことは喫緊の課題だ。一人ひとりが意識を高めて、できることから取り組む姿勢が求められる。

 食べ物が無駄に捨てられてしまう「食品ロス」を減らすための食品ロス削減推進法が10月、施行された。

 推進法には政府や地方自治体、消費者それぞれに努力義務が盛り込まれた。10月は国連が制定した世界食料デー月間でもある。これを機に、飢餓や食料問題を考える国民運動として、持続的に取り組んでいきたい。

 推進法は、政府の役割として食品ロス削減に向けた基本方針を策定すると明記した。地方自治体は基本方針を踏まえて削減推進計画を策定し、実施する。

 貧困や災害などで、必要な食べ物を十分に入手できない人々に提供する「フードバンク」活動を支援することも盛り込んだ。

 都内の食品メーカー「カルビー」は袋入りのポテトチップスの賞味期限を4カ月から6カ月に延長し、年月日の表示を年月のみとした。油の配合改善や製造工程の見直しを進め、可能となった。

 注目したいのは、「もったいない」を商機とする新たなアイデアである。西日本シティ銀行(福岡市)は4月、銀行では初めて融資先の中小企業が抱える売れ残った加工食品などをネットで再販するサービスを始めた。

 融資先をインターネット通販側に紹介し、売買成立で仲介手数料を得る。佐川急便が集荷と配送を担う。認知度の高まりに合わせて取引も増えつつあるという。

 いずれも、できることを実行に移した企業努力の好例で、横の広がりに期待したい。

 コンビニエンスストアでも、販売期限の近づいた食品の購入者に一定割合のポイントを還元することで実質的に値引きし、食品ロスの削減を図る動きが出ている。

 JAや農家はフードバンクや子供食堂への食材寄付を行っている。寄付された食品の保管場所や流通方法などのインフラを整えることも重要だ。せっかくの食材が食卓に載る前に腐ってしまっては元も子もない。

 国内の食品ロスは推計で年643万トン(平成28年度)に上る。1人当たり、毎日、お茶碗(ちゃわん)1杯分のご飯を捨てたことに相当する。「もったいない」という意識を新たにしたい。

会員限定記事会員サービス詳細