加入するかどうかを選べる自治会や町内会と違って、マンションの管理組合は区分所有法に基づき、全員の加入が義務づけられている。
だが、役員になって活動しているのは年配の人たちが中心。多忙な若い世代は関心が薄く、担い手不足が課題となっている。高齢化が急速に進む今後は、管理組合の多くが機能不全に陥る恐れすらある。行政側が早い段階から支援に乗り出すのも、このためだ。
支援機構は、相談窓口になっている市立住まい情報センターから管理組合に関する課題やニーズを吸い上げ、月1回の定例会議で解決策を考えたり意見を出し合ったりしている。その結果、マンション内のご近所トラブルや自主防災組織など、幅広い分野の情報を発信できる。
登録した管理組合には「マンション管理サポートブック」と題する冊子を配布し、セミナーを開催。管理組合同士の交流会や、組合員の生の声が聞ける大規模修繕工事見学会なども行っている。今後もあの手この手で登録数を増やしたい考えだ。
■無関心はだめ
分譲マンションは賃貸マンションと異なり、管理組合が建物を管理運営する。管理会社がやってくれるのではなく、自分たちで管理する必要があるのだ。
「分からないから」「仕事が忙しいから」と運営を人任せにしてしまいがちだが、関心のない人が増えればマンションの環境は悪化。建物は劣化し資産価値も下がる。
最もやっかいな課題は、約15年おきにやってくる大規模修繕工事だ。多額の費用がかかるため、計画的に積み立てねばならず、応分の負担が必要になる。
いざ工事が近づくと、専門家を交えて建物を調査し、修繕内容を検討する。設計図を作製して見積もりを取り-と、とにかく煩雑で手間暇がかかる。積立金不足で必要な工事ができないなど、さまざまな問題にもぶつかってしまう。
購入を検討している人や将来売りに出そうと考えている人にとっても、管理組合は無関係ではない。市住まい公社は「建物の適正な管理や総会の有無が、資産価値の判断基準になる。立地や外観ばかりに気を取られないよう注意が必要」としている。
■担い手不足、解決策なく
分譲マンションの多いほかの政令指定都市ではどういった対策が行われているのか。