浪速風

子規の息吹感じる古都の秋

東大寺本尊の盧舎那仏=奈良市の東大寺
東大寺本尊の盧舎那仏=奈良市の東大寺

〈柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺〉。俳人、正岡子規が明治28年10月末、生涯最後の旅で訪れた奈良で詠んだ句はあまりに有名だ。随筆で柿をむいてくれた少女を「梅の精」とほれぼれと見とれ、食べていると東大寺の鐘が鳴ったと書く

▶子規は法隆寺も訪れたとされるが、句の着想は東大寺の鐘を聞いたときに得たともいわれる。子規の泊まった旅館跡で「子規の庭」=奈良市今小路町=が無料開放している。同地にある日本料理店「天平倶楽部」が子規が見たであろう柿の古木を見つけ、子規顕彰のため整備した 

▶子規の『書斎及び庭園設計』と題した文と挿絵に沿い子規好みの草花を植えた。子規の義理の孫の正岡明さんが庭園設計業を営んでいたことから設計を担った。子規が奈良に来た10月26日は「柿の日」。柿は台風被害を免れ赤く色づき、同店女将の中塚隆子さんは「名句が生まれた情景を感じて」。東京・根岸や松山ではなく、古都で子規の息吹を感じる秋も楽しい。