【モントリオール=上塚真由】カナダで21日朝、総選挙(下院、338議席)の投票が始まった。トルドー首相率いる与党、自由党と、最大野党の保守党の支持率はほぼ横並びで、トルドー氏が政権を維持できるかが焦点だ。環境問題などが大きな争点で選挙戦最終日も各党は論戦を繰り広げた。
カナダ公共放送(CBC)がまとめた20日時点の獲得議席予測は、自由党が138議席で保守党は124議席。これに続き、東部ケベック州の分離独立を目指すケベック連合が38議席、新民主党は34議席となっている。自由、保守ともに単独過半数を占めるのは困難な情勢。カナダメディアは選挙後に自由と新民主が連立協議を行い、トルドー氏が政権にとどまる可能性を指摘する。
選挙戦で国民の関心は経済施策のほか、気候変動対策に集まっており、トルドー氏は、温室効果ガスの排出量に応じて課税する炭素税の導入は不可欠と主張。これに対し、保守党のシーア党首は、国民の負担が大きすぎるとして炭素税の廃止を訴えている。トルドー氏は20日、激戦区の西部ブリティッシュコロンビア州を集中的に遊説し、「自由党が唯一、気候変動に立ち向かう現実的な施策を打ち出している」などと支持を呼びかけた。
昨年12月にカナダ当局が通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕して以降、対中関係の悪化も懸案となる中、保守党は、トルドー政権の中国への対応が甘すぎると批判。保守党が勝利した場合、米国と同調して対中強硬路線にかじを切る可能性もある。