「あなたたちを決して許さない」。スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16)が9月の国連「気候行動サミット」で涙ながらに地球温暖化対策の強化を各国指導者に訴えた演説は反響を呼んだ。若者の世界的なデモの火付け役としてノーベル平和賞受賞も有力視されたが、その言動には賛否両論が上がり、指導者が対策に消極的な米国、熱心な欧州の双方で活発な議論を巻き起こしている。
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□米国
■トランプ氏の消極姿勢あらわ
米国では国際的枠組み「パリ協定」を離脱するなど、地球温暖化対策に後ろ向きとされるトランプ米大統領と比較し、グレタ・トゥンベリさんの活動を評価する報道が目立った。
米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は、トゥンベリさんが演説した翌日の9月24日付社説で「気候行動サミットでは、世界の政治家たちが子供のように振る舞う一方、子供たちがリードした」と見出しに掲げた上、約65カ国の首脳らが参加したサミットでは温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みが表明されたが、「あまりにも控えめな約束」と総評。一段の対策を求める抗議活動が世界的に盛り上がったにもかかわらず、「大人たちの無気力な行動」があらわになったと嘆いた。
社説は米国が再生可能エネルギー分野で世界を牽引(けんいん)する立場になり得るのに、トランプ氏が石油・ガス産業を擁護し続けていると批判。「生態系が崩壊しつつある」と演説で強い危機感を示したトゥンベリさんに対し、トランプ氏が「幸せな若い女の子」とツイッターで皮肉ったことを取り上げ、「世界的な行動を求める彼女の切々とした訴えにトランプ氏は嘲笑するツイートで応じた。われわれの大統領は世界の政治指導者ではなく、学校のいじめっ子だ」と非難した。
同紙は若者たちの抗議活動で頻繁に使用される「子供が指導者のように、指導者が子供のように振る舞うのは変わるときだ」という言葉を引用し、世界の指導者に対し、責任の重大さを認識するよう呼びかけた。