埼玉県は21日、台風19号の被害が各地で判明した13日夜に、県民生活部の矢嶋行雄部長(59)が飲酒して自転車に乗り、警視庁に道交法違反の疑いで事情聴取されていたことを明らかにした。その後、県に報告もしておらず、県は21日付で更迭し自宅待機を命じた。
矢嶋氏は「飲んではいけないことを重々承知していた。責任者として申し訳ない。改めて事情聴取を受ける予定で、それを踏まえて報告するつもりだった」と説明しているといい、後任は県教育局の小島康雄副教育長(58)が就いた。
県によると、矢嶋氏は13日、台風19号で電車が運休したため、自転車で登庁し、県の災害対策本部会議に出席した。退庁後、東京都北区の飲食店で日本酒などを飲酒し、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の日本代表の試合をテレビで観戦した。
その後、帰宅するため、自転車に乗ろうとして姿勢を崩し、目撃した警察官に職務質問された。任意で事情聴取を受けたが、県に報告しないまま、知事代行として15~19日に豪州を訪問。警視庁から18日に問い合わせがあり発覚した。
大野元裕知事は21日の記者会見で「台風に対応しなければならない重要な時期だったにもかかわらず、酔って運転した行為は大変遺憾だ。誠に申し訳ない」と謝罪した。「県民生活部長は交通安全を所掌する役職であり、その責任は重い」とも述べた。