これを受け主要国で強まり始めたのが、「金融政策頼み」をやめ、財政政策にシフトすべきだとの声だ。IMFのゲオルギエワ専務理事は今月8日の講演で「通貨政策と金融政策だけでは役に立たない」と主張。ECBのドラギ総裁も9月、「今こそ財政政策が責任を負うべき時だ」と訴えた。
米国で財政赤字拡大の容認論「現代貨幣理論(MMT)」が注目される背景にも、「金融緩和策は資産価格を上昇させ、富裕層だけに恩恵を与えた」という不信感がある。
G20会議で出た意見は、財政政策を重視し始めた国際世論を反映したものだ。真っ先に対応を迫られるのが日本で、今月1日に消費税率を10%へ引き上げた直後に台風19号の被害に直面。政府は復旧に向けた令和元年度補正予算案の検討を始めた。
世界経済のリスクが及ぶ場合は、新たな経済対策を補正予算案と2年度当初予算案で手当てするが、景気の腰折れを防ぐお手本となるのか注目される。(山口暢彦)