日本初のアフリカ出身学長 大学改革の狙い ウスビ・サコさん

日本初のアフリカ出身学長 大学改革の狙い ウスビ・サコさん
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 京都精華大学長、ウスビ・サコさん(53)は、マリ共和国出身、日本の大学で初めてのアフリカ出身の学長だ。留学生を増やし、多様性を意識した教職員の登用など、グローバル化をにらみ、新しい大学の姿を模索。「人材育成の場を通して、世界の発展に寄与したい」という。(横山由紀子)

 サコさんは、マリ共和国の首都バマコ生まれ。教育熱心な家庭に育ち、高校卒業後、成績上位者が選ばれる国費留学生として、中国の大学で学んだ。「マリの発展に役立ちたい」と建築を専攻。卒業後は母国で公務員になることを希望していたが、政情不安定で募集がなかったため、旅行で訪れたことのある日本行きを決意。一から日本語を学び、京大大学院で博士号を取得、その後京都精華大学人文学部で講師として教壇に立った。そんな経歴から、マリの現地語に公用語のフランス語、日本語、英語、中国語など6つの言語を操る。

 専門は建築学だが、「そこに人が関わる以上、人の行動規範や心理状況、社会のあり方まで網羅する必要がある」と考える。人文学部では、人間の行動やコミュニティーを考察する空間人類学、建築文化論などを教えており、学生を連れてマリ共和国に行き、住居の共用部分の中庭での行動を調査したり、京都の街中の各家が行う打ち水の範囲から人間関係を探ったり、とユニークな研究を続けてきた。

 平成25年に教授に就任。さらに「愛着を感じるこの大学のために一役買いたい」と、学長選挙に出馬。他の2人の日本人候補者と同じように、学生や教職員を前にビジョンを語った。昨年4月に学長に就任すると日本のみならず海外でも大きな話題に。「世間ではアフリカ人だから学長になったと思われがちですが、違います。学長選挙で闘い、わずかの差でギリギリで選ばれたのです」と語る。

 就任から1年半、自らのバックグラウンドを生かし大学運営に采配を振るう。まずは、大学の国際展開を念頭に、留学生を増やした。優秀な留学生を呼び込むため、AOや一般入試など日本人向けだった入試もオープンにするなどし、今年度の新入生のうち留学生の割合は3割に。世界から優秀な学生を集めることにより、日本人学生の刺激にもなり大学全体の活気につながっている。

 学生の多様化に合わせて、教職員の多様化も図った。教職員の公募要項には、採用試験で同点の場合は女性、あるいは外国人を優先すると明記。「全員が同じスタートラインに立つまでは、意識的にやる部分があっていいのではないかと思います」。

 2050年には、世界の人口の4分の1が集中するといわれるアフリカが、世界の原動力になるのか、もしくは負担となるのか。故郷アフリカの行方にも思いを巡らせる。昨年には、アフリカのパワーと可能性をビジネスの側面から探る「現代アフリカ講座」を東京で開いた。今秋、京都でも開催する。「大学という人材育成の場を通して、世界全体の発展、幸せに寄与したい」と考える。

 日本での生活は、30年近くになる。日本人女性と結婚、2人の息子に恵まれた。サッカーやバスケットボール、卓球などが大好きなスポーツマンであり、ブルース、レゲエ、マリ音楽、沖縄の民謡まで愛する音楽ファン。一方でテレビのお笑い番組も大好き。日本語を話すときは自然と関西弁が出るほどだ。

 すっかり日本に溶け込んだように見えるサコさんだが、決して現状はゴールではないという。「まだまだ通過点。学長もひとつの経験です。これからも社会で何を学べるか、社会で何ができるか。模索しています」と力強く語った。

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