リチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞の受賞が決まった旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)が18日、萩生田光一文部科学相を表敬訪問し、「最大の難関は舞踏会」と12月の授賞式に思いを寄せた。
萩生田文科相から祝福を受けた吉野さんは「基礎研究は非常に確率が低い。世界初のことを100人中100人はできない。当然、無駄な部分があるからこそ一つの成果が生まれる」と持論を語った。
教師から読書を勧められた思い出に話が及ぶと「小学校の真ん中辺りに何かの刺激を与え、将来こうなりたいと思える、くすぐるような刺激を与えれば、子供は道を見つけると思う」と話した。
スウェーデンで開かれる授賞式の際の舞踏会について「私も家内も全く知らない」と困った表情。「あんなもんやらんでいいという人もいるし、礼儀だからやらないと失礼になるという人もいて、諸説ある」。19日には平成28年にノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典さんと会い、「その辺のところを教えていただく」と明かした。
今後については「リチウムイオン電池は人工知能(AI)技術やモノのインターネット(IoT)の概念などとセットで、環境問題への有力な武器になる。今回こういうことになり、それなりの発言力もできたので、そういうことをやっていきたい」と、新たな目標への意欲をみせた。