台風19号

東松山市早俣の決壊堤防、国に「改修要望」の無念

決壊した都幾川の堤防跡=16日、東松山市早俣
決壊した都幾川の堤防跡=16日、東松山市早俣

 台風19号で決壊した東松山市早俣(はやまた)の都幾川堤防について、地元住民が「決壊の恐れがある」として、これまでに複数回、国土交通省に改修工事を要望していたことが17日、わかった。市も平成28年から改修を国に要望していた。家財道具の片付けに追われる被災住民からは「堤防を改修していたら、今回の決壊は防げたのではないか」と批判する声が相次いでいる。(竹之内秀介、写真も)

 「早俣」の地名は、15日の参院予算委員会でも飛び出した。立憲民主党の福山哲郎幹事長が、住民から都幾川堤防の改修要望が寄せられていたことを確認したところ、赤羽一嘉国交相は「技術的な課題や地元関係者との調整が必要で、すぐ工事に着手できない状況だった」と回答した。

 この説明に、早俣の元区長、山嵜勇さん(73)は「国から協議の申し出は一度もなかった」と首をひねる。山嵜さんは区長を務めていた平成26年ごろから複数回、堤防改修の要望を国交省に提出したという。

 今回の台風で山嵜さんの自宅は2階まで浸水し、壁板が大きくはがれ落ちた。避難所暮らしを送る山嵜さんは「想定外の天災かもしれないが、地元は何度も改修の要望をしていた。想定外の一言では納得できない思いがある」と語った。

 堤防決壊により、都幾川近くにあった小剣(こつるぎ)神社の社殿も跡形もなく流された。早俣出身で親族宅の片付けに駆けつけた川越市の会社員、千代田和明さん(43)は「地元の氏神さまがなくなってしまった…」と肩を落とす。

 また、早俣で農業を営む関根文男さん(69)は「今回の被災で若い人たちが住まなくなれば、早俣は消滅してしまう。とにかく台風に耐えられる堤防を作ってほしい」と訴えた。

 地元からの堤防改修要望について、都幾川を管理する荒川上流河川事務所の担当者は「河川全体の状況を考慮した上で、優先順位を付けて工事を実施している。堤防の強化については、今後検討していきたい」と話した。森田光一・東松山市長は産経新聞の取材に対し、「国には今一度、堤防の状況を総点検し、ハード面での整備を進めてもらいたい」との認識を示した。

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