【台風19号】建設凍結で揺れた八ツ場ダム、効果発揮か - 産経ニュース

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台風19号

建設凍結で揺れた八ツ場ダム、効果発揮か

 今回の台風19号では、民主党政権時代に建設凍結問題で揺れた八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)が効果を発揮したといえそうだ。赤羽一嘉国土交通相は16日の参院予算委員会で、下流の利根川で大きな氾濫を防ぐのに役立ったとの認識を示した。

 長野原町の八ツ場ダムを見下ろせる高台の駐車場には15日、観光バスや他県ナンバーの車が詰めかけていた。上流の吾妻(あがつま)川から流れ込んだ茶色く濁った水でダム湖はほぼ満杯で、多くの見物客らが物珍しそうに眺めていた。

 八ツ場ダムは調査開始の昭和27年以降、利根川流域の関東1都5県の利水、治水機能を担うため、国と群馬県が計画を推進。民主党政権下で費用対効果が疑問視され、一時凍結されたが、政権交代後の平成27年に着工された。総事業費は約5320億円に上る。

 国交省関東地方整備局によると、来春の本格運用前に安全性を確認する「試験湛水(たんすい)」を今月1日から始めたばかりで、3~4カ月で満水になる予定だった。台風19号通過後の13日午前5時の水位は標高573・2メートルで、通過前の11日午前2時と比べて約54メートル上昇。最大流入量は毎秒約2500トンで、13日までに約7500万トンをため、通過後には満水まで10メートルに迫った。

 今回、利根川水系では栃木県内7河川9カ所で堤防の決壊が確認されたが、いずれも八ツ場ダムの下流ではない別の支流だった。赤羽国交相は16日の答弁で今年度中にダムを完成させる考えを強調。貯水容量の大きさなどに触れ、「利根川流域の住民の安全な暮らしに大きく寄与する」と述べた。

 京大防災研究所の角哲也教授(河川工学)は「今回は全く放流していないこともあって大きな治水効果を発揮した。流入量などの検証が必要だが、適切に行えば運用開始後も効果を発揮できる」と評価した。