衆参両院の予算委員会で、野党が文化庁の補助金不交付を「事実上の検閲だ」と批判した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」。立憲民主党は憲法審査会で議論すべきだと訴えており、今後も臨時国会の大きな焦点となる可能性が高い。「一度は展示を自分の目で見ておく必要がある」と考え、13日に名古屋市で開かれた報道関係者向けの鑑賞会に参加した。(内藤慎二)
「お客さまはクロークに荷物を預けた後、こちらのパネルを見ます。検閲とは何かが詳しく書かれています」
報道陣が案内されたのは、検閲などを批判する芸術祭の企画展「表現の不自由展・その後」の会場。鑑賞会の冒頭に学芸員がこう紹介したパネルには、「『検閲』をめぐる新しい動き」などと書かれていた。
その後、入場者に対して金属探知機による身体検査を実施していることや、撮影とSNS(会員制交流サイト)への投稿は禁じられているとの説明を受けた。この日は作品の撮影を許されず、「不自由な鑑賞」を実感した。
不自由展は表現が物議を醸した16作家の23作品で構成され、「マネキンフラッシュモブ」という作品の説明には「ABE IS OVERなどのボードを示す静寂のアクションである」と記されていた。ドーム形の作品には「『政府から圧力』相次ぐ告発」「秘密報道の処罰示唆」などの新聞記事が多用されており、ほぼ全てに「反安倍政権的要素」が含まれているような印象を受けた。