15日から始まる「新聞週間」を前に、教育アドバイザーの佐藤亮子さんに新聞に対する思いや魅力について聞いた。
毎朝、新聞を読んでいる。戦争の記事は、泣きながら読むから、子供には「ママ、また泣いてる」と、よく言われた。
子供に「読みなさい」と言ってもだめ。「この人は93歳で、戦争の時にね…」と、記事を示して語りかけていた。すると、子供も読む。「ママはこう思う」と言うと、「ママはそうだけど、僕は…」。自分の意見が出てくる。
新聞は鍋物と一緒。色とりどりの具材(情報)が入っている。読み切るまでが短くて、分かりやすい言葉で書いてある。子供が読んで考えて、親と意見を交わすのにちょうどいい。
時代はものすごいスピードで変化している。親自身もアップデートしないと。何となくでいいから、時代の流れを知るためにも、読んでほしい。新聞は多様な人に出会える場でもある。自分の生き方を微調整できるのも魅力だ。
構えなくていい。私が新聞を開く時間は1日15分。忙しい時は、気になった記事を破ってかばんに入れ隙間時間に読んでいた。料理をしながら読んで、読み終わったらこんろ周りの油を拭き取りポイ。で、次の日にはもう新品が届く。
子供が四字熟語を覚えるのが面倒と言うから、赤ペンで四字熟語を囲んだ新聞を見せたら、「まじか」と驚いた様子。テストのためでなく、今の勉強が社会につながっていることを伝えるのにも、新聞は格好の材料だと思う。
今、人とやりとりする中心はSNSになった。読み書きはこれからの時代こそ大事だ。だから、子供が18歳までは新聞を近くに置き、使い尽くしてほしいな。
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【プロフィル】佐藤亮子
さとう・りょうこ 大分県出身。津田塾大卒業後、私立高校の英語教師に。結婚後は奈良県で3男1女を育て、全員が東大理科3類(医学部)に合格した。「佐藤ママ」の愛称で、受験や子育てについて各地で精力的に講演を行う。