1964年東京五輪、都民挙げたおもてなしの跡 信濃町で資料展

 1964年東京五輪のメーン会場となった旧国立競技場(東京都新宿区)に隣接する信濃町町会が行ったボランティア活動の回覧板など、五輪開催時の資料で地元住民の取り組みを振り返る「信濃町展~東京1964-2020へ~」が新宿区信濃町の民音文化センターで開かれている。20日まで(15日は休館)。

 展示されている資料は、信濃町町会の回覧板や東京都などの広報紙、前回東京五輪の開催前後に発刊された雑誌やその付録など約100点。鹿児島県で介護老人福祉施設を運営する藤井勝己さん(71)が、およそ半世紀かけて全国の古書店を巡るなどして集めた約1300点の一部という。

 今回の展示資料で目を引くのが、ボランティア参加を呼びかけた信濃町町会の回覧板。東京五輪を前に、町内の清掃や外国人観光客への道案内などを募集している。応募した住民の実名を記し、役割を輪番制で回したことが分かる資料もあり、地元住民の熱気が伝わってくる。

 五輪教育などに詳しい筑波大の真田久教授は「大会組織委員会が作成した公式の資料はあるが、庶民がどのように東京五輪を迎えたかを伝える記録は見たことがない。庶民の熱気を伝える貴重な資料ばかりだ」と指摘する。

 都が配布した当時の広報紙では五輪開幕直前の9月27日~10月3日が「首都美化総点検週間」と位置づけられ、「私の家の前の道路は、掃除がゆきとどいている」など○×形式による数十項目のチェックシートが印刷されていた。「首都美化はオリンピックの一種目」の標語も書かれ、都民挙げての美化活動を呼びかけているのも興味深い。

 藤井さんは「(1964年)東京五輪のマークの美しさにひかれて資料を集め始めた。このような形で展示され、資料が輝いて見える。ごみではなかったことが証明されました」と笑顔で語った。

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