ラグビーのワールドカップ(W杯)の日本代表は13日、横浜市港北区の横浜国際総合競技場にスコットランドを迎えて1次リーグA組4戦目を戦う。台風19号通過の影響でこの日予定されていた釜石鵜住居復興スタジアムのナミビア-カナダ戦が中止となるなか、午前に開催が決まったこの一戦。日本は悲願の決勝トーナメント進出が勝ち点2以上で決まる。スコットランドには4年前の前回大会で10-45で完敗し、決勝進出を断たれた因縁の相手で、通算成績も1勝10敗と大きく負け越している。
スコットランドは初戦のアイルランドには3-27で敗れたものの、ロシアに34-0、サモアに61-0と連続完封勝ち。この2戦は固いディフェンスで相手の攻撃を食い止め、SHレイドロー、SOラッセルらの正確なキックで一気に攻め込むなど多彩な攻撃で圧倒してきた。強風など台風通過の影響も懸念されるなか、日本は素早い球出しからの連続攻撃でボールを支配できるかがカギとなる。
試合開始直前 日本とスコットランドのフィフティーンはそれぞれグラウンドに横一線に並び台風19号による豪雨の被害者らに黙とうをささげた。スタンドを埋め尽くした観客も約30秒、頭を下げた。
前半0分 両国の国歌斉唱の後、日本のキックオフで試合開始。ゴロキックで日本がボールキープ。
前半6分 スコットランドは日本5メートルラインまで攻め込みラックを拠点にしたサイド攻撃を何度も仕掛ける。日本も早いタックルで防ぐが、スコットランドはラックから出たボールを右ラインに展開、最後はSOフィン・ラッセルが日本のディフェンスをすり抜け、この試合初のトライを決めた。コンバージョンゴールも決まり7点を先制する。日本0-7スコットランド
前半15分 7点を追う日本はマイボールスクラムからボールをつなぎ、あとゴール前5メートルまで攻め込むが、密集でボールを奪われ蹴り出されるなど、2試合連続完封勝ちのスコットランドの厚いディフェンスを崩せず。その後、スコットランドのノーバインドタックルの反則で、ペナルティゴール(PG)を選択。45メートルのPGは決まらず。日本0-7スコットランド
前半17分 日本はスコットランド陣内10メートルライン付近のラックから出たボールを左ラインに展開する。左サイドライン際をすり抜けたWTB福岡堅樹がタックルを受けながらWTB松島幸太朗につなぎ、そのまま松島がトライ。SO田村優のコンバージョンゴールも決まって7点を返す。日本7-7スコットランド
前半25分 日本はPR具智元にアクシデントでヴァルアサエリ愛に交代。日本はWTB松島幸太朗がスコットランドのバックスラインを突破して大きくゲイン。ラックからのボールをフォワード陣がつなぎ、最後はFBウィリアム・トゥポウのパスを受けたPR稲垣啓太がゴール中央に飛び込んでトライ。コンバージョンゴールも決まり、7点を取って逆転する。日本14ー7スコットランド
前半39分~前半終了 日本は左にボールをつなぎ、CTBラファエレ・ティモシーがゴロキック。相手ディフェンス裏に駆け込んだWTB福岡堅樹がボールをキャッチし、そのままゴール左隅に飛び込んでトライ。難しい角度からのコンバージョンゴールをSO田村優が決めて7点を追加、ここで前半終了。日本21ー7スコットランド
前半解説 林雅人氏 引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる一戦。日本代表は自分たちの持ち味であるテンポの早いアタックができている。
スコットランドのディフェンスが前に出てこず、日本はクイックな動きと空きスペースを作れている。特に、前半2つのトライは、タックルされながらパスをする「オフロードパス」からトライにつなげた。これも、スペースがないとできないことだ。
一方のスコットランドは日本の早い攻撃に対応できていない。後半、スコットランドのディフェンスが前に出てくるかどうか。前半と同じであれば、何の心配もなく日本が勝てるだろう。(キヤノンアシスタントコーチ、元日本A代表監督)
後半2分 スコットランドはセンターライン付近のラックから出たボールを左ラインに展開するが、タックルに入ったWTB福岡堅樹が相手からボールを奪うと、そのまま約50メートルを独走し、インゴール中央にトライ。コンバージョンゴールをSO田村優が決め日本は計7点を追加する。日本28-7スコットランド
後半9分 スコットランドはクイックラインアウトからボールをつなぎ、日本のゴール前2メートルまで攻め込む。日本は必死のディフェンスで突進を防ぐが、最後はラックから右に出たボールをPRウィレム・ネルが運び、ゴールポスト左にトライ。コンバージョンゴールも決まって7点を返す。日本28ー14スコットランド
後半10分 日本はSH流大に代えて田中史朗、FBウィリアム・トゥポウに代えて山中亮平を投入する。
後半14分 スコットランドは日本22メートルラインまで攻め込み、ラックから出たボールをフォワード勢が縦に突進し、最後はLOジョニー・グレイから途中出場のザンダー・フェーガーソンにつなぎ、中央右にトライ。コンバージョンゴールも決まり計7点を返す。日本28-21スコットランド
後半32分 日本はPR稲垣啓太に変わって中島イシレリを投入。日本は22メートルライン内で何度も突進を続けるが、相手ディフェンスに阻まれる。一進一退が続き、27分にはNO8姫野和樹のジャッカルをめぐって、両チームがつかみ合う場面も。その後も一進一退が続く。日本はFLリーチ マイケルとHO堀江翔太に代えて、坂手淳史とツイ・ヘンドリックを投入。日本28-21スコットランド
後半38分 スコットランドは日本陣内で猛攻。日本は早いタックルでゲインさせず、逆にターンオーバー。サイド攻撃を繰り返して拠点のラックをつくる。
後半40分~試合終了 日本はラックから出したボールを左サイドラインに蹴り出して、7点差のままノーサイド。日本は史上初の決勝トーナメント進出を決めた。日本28-21スコットランド
後半解説 林雅人氏
後半、スコットランドがボールを外に動かすようになり、自陣からの不用意なキックを減らしたことで、日本のディフェンスが少し翻弄されてしまった。ただ、後半2分、福岡のトライも手伝って、前半の貯金をなんとか守り切った。
史上初の決勝トーナメント進出。全勝で1位通過ということを誰が予想していただろうか。日本開催という大切な場所で、すばらしい結果を残した。
準々決勝は、フィジカルが強い南アフリカと対戦する。日本は、ボールを持ってテンポの早い攻撃でアタックし続けることが必要だ。総力戦に持ち込めば、勝機はある。(キヤノンアシスタントコーチ、元日本A代表監督)