米中貿易「第1段階の合意」 農産物など トランプ氏、関税引き上げ再延期

【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は11日、中国との貿易協議で「第1段階の合意に達した」と述べ、15日に予定した対中制裁関税の税率引き上げを再延期する方針を示した。米中両政府は同日までの閣僚級協議で、中国による知的財産保護や米国産農産物の購入、金融市場改革などの分野で暫定合意。両国首脳が11月に署名する方向で、今後、合意文書の作成作業を進める。

 トランプ氏はホワイトハウスで11日、2日間の閣僚会合を終えた中国の劉鶴副首相と会談。「かつてない大きな規模の合意だ」と会合の成果を称賛した。

 米政府は9月、中国からの輸入品の約2500億ドル(約27兆円)分に上乗せする追加関税の引き上げを、当初の10月1日から10月15日に延期。今回、15日からさらに先延ばしすることで、世界経済を下押ししてきた米中貿易摩擦が激化する恐れは当面遠のいた。

 トランプ氏は第1段階の合意に、中国による技術移転強要の是正や最大500億ドル規模の米農産品購入のほか、金融サービス開放や中国・人民元の為替問題が含まれると説明した。4~5週間かけて合意内容を文書にまとめ、11月中旬にチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で中国の習近平国家主席と会談した際に正式署名する考えを示した。

 米中は「第2、第3段階の合意」(トランプ氏)に向け、引き続き中国の経済構造改革を中心に協議を続けるという。米政府は12月15日に新たに約1600億ドル分の中国産品に追加関税を適用する予定で、この制裁関税の扱いは今後の協議の進展次第で決める。

 約2カ月半ぶりの閣僚協議は、11日まで2日間開かれ、米国からはライトハイザー通商代表やムニューシン財務長官が参加。中国からは劉氏や鍾山商務相、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁が出席した。

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