リニア出火、山梨・静岡知事が批判 「走行中ならパニック」

JR東海が公表した、出火したリニア試験車両の「作業用断路器」の通常の状態(左)と出火後の様子
JR東海が公表した、出火したリニア試験車両の「作業用断路器」の通常の状態(左)と出火後の様子

 山梨県都留市のJR東海山梨リニア実験線車両基地で7日、停車中の試験車両から出火し作業員3人が重軽傷を負った事故で、静岡県の川勝平太知事は11日の定例記者会見で現状のリニア計画を激しく批判した。

 川勝知事はリニアの南アルプストンネル掘削による大井川の流量減少対策でJR東海に反発。沿線各都県で工事が進む中、静岡県内のみ本格着工できていない。

 出火について川勝知事は「もし走行中で、南アルプスの下だったらパニックだ。乗客をトンネルから避難させる非常口は非常口になっていない。外に出た所は山の中で、冬は凍え死ぬというのは論外だ」と述べた。

 JR東海によると、出火は7日午後4時5分ごろ発生。走行データ取得のため、先頭車両にある「作業用断路器」と呼ばれる機器で車内の電源を切った後、再び入れた際に発火し、作業員の衣服に燃え移った。作業用断路器は走行中には操作しないという。

 山梨県の長崎幸太郎知事もこの日の会見で「公共交通なので出火の原因は徹底的に解明して、安心して乗れる基礎を確立していただきたい」とJR東海に求めた。同県主催で17、18日に行う一般向け体験乗車を中止しないことについては「JR東海から走行に問題はないとの説明があったため」とした。

 リニアをめぐっては、平成3年に宮崎県の宮崎実験線で、タイヤのパンクが原因で車両が全焼する事故が起きている。

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