温泉のタトゥー受け入れ緩和 ラグビーW杯も後押し

入れ墨、タトゥーを入れた客の入浴禁止を告知する、温浴施設の看板=10月2日、岡山市北区
入れ墨、タトゥーを入れた客の入浴禁止を告知する、温浴施設の看板=10月2日、岡山市北区

 国内の温浴施設で入れ墨・タトゥーの入った客の利用制限を緩和する動きが進んでいる。外国人旅行客が増え、開催中のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会で、タトゥーの入った外国人選手がメディアで露出していることも後押しになっている。ただ、入れ墨を反社会的勢力の象徴とみるアレルギーは根強い。判断は個別の施設に委ねられており、手探りが続いている。

対応は施設次第

 岡山県北部の山間地帯にある「美作三湯(みまさかさんとう)」の一角、湯原温泉郷は今秋、禁止していた入れ墨・タトゥー客の受け入れについての検討を始めた。地域の旅館やホテルで作る「湯原観光協会」(同県真庭市)の池田博昭代表理事は「テレビでタトゥーを入れた海外の選手が映り、以前ほど抵抗感は少なくなってきたのではないか」と話し、ラグビーW杯がひとつの後押しとなったと明かす。

 各地の観光施設と同様、湯原温泉郷でも外国人客は増加している。「外国人のタトゥーを認めるなら、日本人の入れ墨も認めなくてはならない。可なら可、否なら否、ルールは徹底する必要がある」と池田代表理事。ラグビーW杯の期間(11月2日まで)には間に合わないが、議論を進める考えを示した。

 こうした入れ墨・タトゥー客への対応についての統一ルールはない。同じ美作三湯の湯郷温泉旅館協同組合(同県美作市)は禁止の立場のまま。もう一つの奥津温泉観光協会(同県鏡野町)では「旅館個別の判断に任せている」という。

 同じ岡山県でも市街地の温浴施設は軒並み禁止だ。

隠せばOK

 W杯の試合開催都市のある府県では入れ墨・タトゥー客の受け入れに向けた議論、動きは活発になっている。

 今年2月に開業した大阪市港区の「空庭温泉 OSAKA BAY TOWER」。禁止の立場は取るものの、縦10センチ、横14・5センチのカバーシール(税別400円)を張ってもらい、5枚までで隠すことができたら入場OK-とする取り組みを行っている。同店では「試験的な措置だが、W杯が終わってもしばらく続ける」としている。

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