ノーベル化学賞の吉野氏「研究者は頭が柔らかくないと」

ノーベル化学賞の受賞が決まった旭化成の吉野彰名誉フェロー=9日午後、東京都千代田区(萩原悠久人撮影)
ノーベル化学賞の受賞が決まった旭化成の吉野彰名誉フェロー=9日午後、東京都千代田区(萩原悠久人撮影)

 旭化成の本社では9日夜、記者会見の準備に追われた。同社社員や報道関係者らが大勢集まる中、登場した吉野彰さんは「興奮しておりますが、うれしく思います」と率直に喜びを語った。

 緑色のネクタイ、スーツ姿の吉野さんが姿をみせたのは午後7時20分ごろ。社員らの拍手の中、笑顔で入場し、関係者から花束を受け取った。

 登壇した吉野さんは「私自身、興奮しております。受賞したことを報告したいと思います」とした上で、「これからいろいろと大変なことが続くと思うが、リチウムイオン電池が受賞対象になり、うれしい。若い研究者に大きな励みになる」と喜びを語った。

 一報を受け、電話インタビューなどあわただしい対応に追われる中、電話で妻の久美子さん(71)に受賞を知らせた。「決まったぞ」。そう短く伝えると、久美子さんは腰を抜かすほど驚いていたという。

 吉野さんは自らの研究者としての姿勢を問われると、少し考えた後、「研究者は頭が柔らかくないといけない。それとは真逆で、しつこく最後まであきらめないことも必要だ」と熱く語り始めた。

 吉野さんは「剛と柔のバランスをとるのが難しい。堅いだけだとくじけてしまう。壁にぶちあたったとき、『なんとかなるわね』という柔らかさが必要だと思う」とも話した。

 妻の久美子さんは9日、神奈川県藤沢市の自宅で報道陣の取材に応じ、「良かったね。おめでとうと伝えたい」と語った。

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