ロシアでは近年、ネットや言論統制の強化、住民の意向を無視した行政決定、治安機関の権限強化など政権側の権威主義的体質に不満が高まっている。今回の一連の請願も、こうした機運の表れとみられる。
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判決への批判が強まる中、政権側は態度を変化させた。治安機関「国家親衛隊」のゾロトフ隊長や、露政権与党「統一ロシア」のトゥルチャク総評議会書記らが判決を見直すべきだとの見解を表明。30日に開かれた控訴審で、ウスチノフ氏は禁錮1年(執行猶予2年)に減刑された。反発を恐れた政権側の意向が判決に反映されたのは確実だ。
露経済紙ベドモスチは「ソ連崩壊後、国民は社会の運営を権力者の恣意(しい)に任せてきたが、万人に公平な社会システムがより望ましいと理解しはじめた」とする政治学者、マカルキン氏の見解を紹介。一方で「政権側が権威主義体質を根本的に改めることはないだろう。それが現政権の権力基盤だからだ」とする社会評論家、クリーシン氏の見方も伝えている。
9月8日に行われたモスクワ市議会選では、政権側が反体制派の立候補を妨害した疑惑が浮上。計10万人以上が抗議デモに参加し、2千人以上が拘束された。一部の拘束者は警察官への暴行罪などで起訴された。