珍しいカブトガニが愛媛県西条市の東予港で見つかった。同市周布の市東予郷土館で保護され、公開されている。
郷土館によると、9月25日午前6時半ごろ、地元の人が東予港の一ツ橋川河口から約40メートル沖合で、建網(たてあみ)漁の網にかかっているのを発見した。雌の成体で体長58センチ。背面、腹面、えらにフジツボがたくさん付いているほか、頭部に傷が多いことから、成体になって年数が経過した個体という。背中に雄がつけたあざがみられ、発見場所の近くに雄がいる可能性もある。夏に産卵した可能性もある。
郷土館はしばらく展示した後、発見日時と場所を記したシールを貼って海にかえす予定。担当者によると元気な個体で餌のゴカイをよく食べるという。
カブトガニは約2億年以上前から姿形を変えずに生き続けていることから「生きた化石」といわれる。東予地区の海岸は愛媛県の天然記念物に指定されているが、遠浅海岸の埋め立てによる産卵場所の減少などで激減。姿が見られるのは珍しくなった。