朝晴れエッセー

日曜日のクイズ・10月6日

「お父さんの名前出てなかったよ」。隣室でいち早く朝刊に目を通していた老妻が声を張り上げた。なにもクイズの落選を大声で知らせることはなかろうに。クイズの応募は一抹の期待を込めて、当落を自分の目で確かめるのも楽しみなのである。

私は今クイズにのめり込んでいる。日曜日に掲載されるクイズ特集は、朝のコーヒーとともに欠かせない定番になった。図形・イラスト系や数学・計算系、漢字・クロスワード系など種類はさまざまで、どれもアイデアを凝らしていて楽しい。私がいちばん好きなのは、正統派のクロスワードパズルだ。それも事典や辞書と首っぴきで、小半日費やす程の難しいのがいい。難しければ難しい程、枡目を埋め尽くし、決着を付けたときの達成感は半端ではない。思わず「やったあ」とガッツポーズが出てしまう。

脳内は今のところ健全でも、文庫本を腹に乗せたまま本日もうたた寝、が日課の後期高齢者にとって、クイズは格好のヒマつぶしアイテムだ。絶えて久しい達成感や満足感をかなえてくれるし、あわよくば賞金獲得のチャンスもある。脳を刺激し認知症の予防にも良さそうだ。ギブアップしても「チクショー」と叫んで、ああ、きょうも無駄で充実したヒマつぶしができた、と思えばいいのである。

鉛筆の芯は削ってある。消しゴムはそばに置いてある。今朝はどのクイズから始めようか。『20のまちがいさがし』は認知症気味の老妻分に残しておこう。

島谷 和彦 82 千葉県船橋市