ラグビー私感

魂のタックル、勝利への自信 熊谷良さん

【ラグビー私感】魂のタックル、勝利への自信 熊谷良さん
【ラグビー私感】魂のタックル、勝利への自信 熊谷良さん
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 日本代表のタックルが素晴らしい。体格が勝る相手に対し、何度も立ち上がり果敢に体を張る勇気が、見ている人の心を揺さぶり涙させる。5日夜のサモア戦でも、素早く前に出るタックルでプレッシャーをかけ続けた。

 華麗なトライよりも献身的なタックルに目が行くのは、私の中にあるDNAのせいか。「魂のタックル」。格上の相手に勝つための慶応ラグビーの伝統である。

 毎日2時間以上、タックル練習に明け暮れる日々。大学4年時には部員全員の努力が実り13年ぶりに大学選手権に出場し、準決勝まで進むことができた。しかし、後半ロスタイムでライバル明治大に逆転負け。今でも夢に見る人生で一番悔しい瞬間だった。

 なぜ勝てなかったのか、勝ちきれなかったのか。勝利に対する「絶対的な自信」がなかったからだ。どう勝ち切るのか明確なイメージもわかず、リーダーとしての未熟さも痛感した。

 対して今回の日本代表。前回W杯イングランド大会で南アフリカから挙げた勝利、スーパーラグビー(ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの強豪クラブチームがそろう国際リーグ戦。日本とアルゼンチンも代表強化のため参加)での経験、さらには戦略・戦術の徹底やハードワークを通じ、選手一人一人が勝利に対する明確なビジョン、すなわち「絶対的な自信」を持っていると感じる。

 「自分を信じ、自分らしく前を向いて歩む」。夭逝(ようせい)した私の恩師、上田昭夫元監督の墓石には、こう刻まれている。自分たちの力を信じる日本代表が、初のベスト8進出、さらにその先へと日本ラグビーの未来を切り開いてくれることを願っている。(平成10年度慶応大卒)

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