【ワシントン=黒瀬悦成】ロイター通信は4日、イラン政府との関わりが疑われるハッカー集団が、来年の米大統領選で再選を目指すトランプ大統領の陣営のコンピューターに侵入を図ったと伝えた。複数の関係者がロイターに語ったところでは、具体的な被害はなかった。
米マイクロソフトは同日、「フォスフォラス」と呼ばれるイラン系のハッカー集団が8~9月の30日間に、大統領選の選挙活動の関係者や現職および退職した米政府当局者、国際政治記者、在外の著名なイラン人らを標的としたサイバー攻撃を展開していたと発表した。
マイクロソフトは、どの選挙陣営が攻撃を受けたか明らかにしなかったが、大統領選の主要候補のうち同社の電子メールを利用しているのはトランプ陣営だけであることから、同陣営が攻撃されていたことが判明した。
ハッカーらは、標的の電子メールのアカウントを割り出す作業を2700回以上にわたり行った上で、241のアカウントに攻撃を仕掛けた。このうち、選挙陣営や米政府当局者を除く4つのアカウントが被害を受けたという。
イラン核合意から離脱したトランプ政権とイランのロウハニ政権は、イランの仕業とされるサウジアラビアの石油施設攻撃などをめぐり対立を深めており、ハッカー攻撃はトランプ陣営の動向など内部情報を探ろうとした可能性もある。