航空機整備のスペシャリストとして、首相らの要人空輸に平成22年から従事し日本外交の一翼を担ってきた。
垂直尾翼に日の丸を描いた政府専用機は「空飛ぶ首相官邸」とも呼ばれ、自身の所属する航空自衛隊特別航空輸送隊(北海道・千歳基地)が運用している。
「外国に到着するときは日本が来たと受け止められる。現地の日本人から感動したと言われたり、外国の方からきれいな飛行機だと褒められたりすると誇りに思う」と語る。
要人の予定は変更できないため、現地では限られた時間内に整備を行う。乗り降りの場面で敬礼するのも整備員の役割だ。「報道を通して大勢に見られている。とても緊張する」
今春行われた政府専用機の新旧交代に、整備作業を統制する部署のチーフとして携わった。交代を控えた冬場は、新機種の飛行訓練も含め新旧計4機を飛ばすために「パズルのような作業」に。大きな機体は移動に時間がかかり、除雪範囲も広い。氷点下の屋外作業は長く続けられず、2機しか入らない格納庫をうまく回す必要があったという。
青森県出身。子供の頃、地元の三沢基地で「ゴーッ」という音を立てて上昇する戦闘機に憧れた。平成3年に入隊。戦闘機の整備を経て特別航空輸送隊へと、この道一筋に歩んできた。新専用機が今年4月、初の任務運航を果たし、「みんなの力でなし得た」と晴れやかな表情を見せた。(寺田理恵、写真も)
=おわり