「真剣に偏見解消を」ハンセン病家族、厚労相らに訴え

 ハンセン病元患者の家族による民事訴訟の判決確定を受け、厚生労働省は2日、法務省、文部科学省と合同で、原告団の家族らと偏見差別の解消に向けた施策を話し合う初の協議を開いた。これに先立ち、家族らと面会した加藤勝信厚労相はこれまでの施策を謝罪した上で「改めて問題の奥深さを知った」と述べ、人権啓発などの取り組みを強化する考えを示した。

 「長い間、父のことを隠して隠して生きてきた」。加藤氏との面会で涙ながらに話したのは、秋田県出身の女性。父親が元患者だったことは夫の親族や友人にも伝えていない。「関係性が変わってしまうという不安から話せない」といい、加藤氏に「秘密を抱えなくてもいいように施策を進めてほしい」と訴えた。

 沖縄県出身の女性は、夫との結婚話を猛反対された経験を披露。夫の両親から「別れてくれ」と言われ、「強いショックを受け、何も言えなかった」。平成8年に、らい予防法が廃止された後だったが、「沖縄の人たちの偏見差別はそれほど強かった」と強調した。

 別の女性は姉と兄が小学校でハンセン病を扱った映画を見させられ、いじめがよりひどくなったことを打ち明け、「形だけの施策はいらない。真剣に、本気で偏見差別をなくしてほしい」と訴えた。

 合同協議では、橋本岳厚労副大臣が「偏見や差別を解消する国の目的が達成できていないことは厳然とした事実」と発言。これに対し、原告弁護団の徳田靖之共同代表は「啓発活動に効果があったのか検証せねばならない」と述べた。

 元患者の家族をめぐっては、原告団以外の家族を含めた被害補償のための関連法案が、4日招集の臨時国会に議員立法で提出される見通し。

 地裁判決では、続柄に応じて慰謝料に差がついた。国は補償額を判決より増額させる方針だが、一律補償を望む原告側との間で隔たりがある。家族の範囲に関しては親子や配偶者、きょうだいだけでなく、同居していたことを条件に、おいやめい、孫も対象とする方向で調整が進められている。

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