発電機車を取り付けた後は倒木の撤去を中心に行うため各地を回った。電柱が被害にあっている場所が多く、「倒木や大型の飛来物が電線や電柱に引っかかり、重みと風の負荷で倒れたようだ。ほかの災害と比べても圧倒的に倒木が目立った」(西田さん)。
木更津市の現場では、ナシ農家からの要望が切実だった。収穫期を迎えていたのに実が強風で落ちてしまったのだ。さらに、電柱が倒れて停電が発生しており、生活の立て直しすらままならない状態では、片付けもできない。
そこで現場の電柱を調べると、撤去しても当面の復旧には影響しないと判明。応急的に電線をつなぎ直す臨機応変な対応を取った。
「ありがとう」励みに
イオンモールに設けた拠点にはテントがいくつか張られたが人数分のスペースは確保できない。テントで寝られるのは良い方だったといい、吉村さんと西田さんは車中か屋外のブルーシート上で寝袋を使い、睡眠を取った。
こうした過酷な状況の中、励みとなったのは地元住民からの「ありがとう」との感謝の言葉だった。
発電機車を取り付けた福祉施設では、調理場が使えるようになって施設側から食事が振る舞われた。非常用のレトルト食品を用意してはいたが、吉村副課長は「温かい食事は疲れた体にありがたかった」と振り返った。
2人は15日まで作業。北陸電力は、送電設備が復旧した24日まで、社員、協力会社含め延べ528人を派遣した。今回の出動を通じ、吉村さんは「一刻も早く復旧させるという熱い気持ち、安全を肝に銘じることを後進に伝えていきたい」、西田さんは「困っている人たちに早く電気を送れる配電マンを育てていきたい」と話している。