消費税率が1日から10%へ引き上げられた。「行楽にかける費用は切り詰めるしかないなぁ」-。そんな思いを巡らせているお父さんやお母さんは少なくないはずだ。各家庭が「生活防衛」に打って出ることを見据え、秋の書き入れ時を迎える行楽施設はあの手この手の対抗策を講じている。
国内最大のマンボウ専用水槽などを備え、東京、埼玉など近隣都県からも観光客が詰めかけるアクアワールド茨城県大洗水族館(同県大洗町)は、家族連れを強く意識した料金改定を行った。
大人料金を2千円(改定前1850円)に値上げした一方で、小中学生と3歳以上の料金をそれぞれ900円(同930円)と300円(同310円)に値下げした。子供の数が多ければ多いほど「お得感」が増す料金体系というわけだ。
同館の利用者は「5歳前後の子供とその両親」というパターンが多く、担当者は「増税後の入館者減少を防ぎたい。子供料金を下げたことで入館者は増えるかもしれない」と語る。
十円単位の料金を百円単位に改めたことにも、家族がまとめて券を購入する際に合計料金を計算しやすくする狙いがあるという。リピーターを確保するために、年間パスポートの料金も一律値下げとした。
約3万2千本のコキアが見頃を迎える国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)も、大人450円、65歳以上210円などの入園料金を据え置き、駐車料金などを増税分だけ引き上げる改定にとどめた。担当者は「入園料金については近年改定したばかりで、その他は事務的に増税分だけを引き上げた」と話す。
同園への入園者が利用者の約4割を占める市の第三セクター「ひたちなか海浜鉄道」も、普通旅客運賃を据え置いた。同園には路線バスや高速バスでのアクセスも可能なため、利用者が離れることを懸念した。
加えて、運賃を改定した場合、券売機や車内の料金表示システムなどの改修で数千万円の費用がかかるため、客をつなぎ止めることで増税分を取り戻すほうが得策だと判断した。(永井大輔)