1日に消費税率が8%から10%に引き上げられ、軽減税率制度が導入された影響で静岡県内でも混乱が生じた。複数税率に対応するレジが在庫薄で納入が間に合わないケースなどもあり、多くの事業者はアナログな対応を迫られた。
レジ間に合わず
静岡浅間神社(静岡市葵区)近くの静岡おでんの老舗「おがわ」では複数税率対応のレジの納入が間に合わず、10%となる店内飲食分をそろばんで計算し、手書きの領収書を発行する対応を取った。8%となる持ち帰り分は従来のレジで対応。店内で食べて、さらに持ち帰りもするという客には別々に会計をお願いした。
女将(おかみ)の小川光江さん(69)は「国が決めたことなので従わないと仕方ないが、面倒ばかりが増えた」とこぼした。
静岡商工会議所(静岡市葵区)が8月に市内320事業所を対象に行った調査によると、21%が複数税率対応のレジを導入したものの、導入予定も含めて半数に満たなかった。9月6日にレジ会社など24社を呼んで開いた相談会では約180人の事業者が訪れ、この1カ月の駆け込み需要でレジ導入が進んだとみられるが、今後も導入の相談は尽きそうもないという。
キャッシュレス伸び悩み
静岡市葵区千代田の総菜店「楽多厨房(ちゅうぼう)」では1日の開店前に慌てて、店内に軽減税率について知らせる掲示を10枚以上張り出した。
同店では会計時の混乱を防ぐためイートインスペースを飲食禁止にすることを検討したが、消費税率の扱いを説明する注意書きを掲示して客に会計時の自己申告を呼びかけることで、当面は従来通りの利用を認めるよう方針転換。しかし、混雑時のレジでの対応に不安が残るとし、店内飲食を継続するかは流動的だという。