中国ウオッチ

落第なら記者証剥奪 中国が習近平氏への「忠誠心」テスト

 中国メディアの記者や編集者を対象に、習近平国家主席(共産党総書記)の政治思想に関するテストが全国で実施される。落第すると記者証の更新を認めないというから穏やかではない。試験に使うのは習氏の発言を集めた携帯アプリ「学習強国」で、かつて文化大革命の紅衛兵たちがこぞって手にした毛沢東語録にも例えられる。中国国内の報道は党の宣伝部門が厳しく統制しているが、中国の記者たちは習氏への忠誠心まで要求されている。

(北京 西見由章)

 党中央宣伝部のメディア監督部門は8月23日、国内の報道機関向けに出した通知で、「学習強国」による試験に合格した者しか記者証を発行しないと言明した。試験は10月上旬に行われる。

 中国メディアによると、9月末ごろには一部の報道機関を対象に「試行試験」が行われるという。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは匿名の関係者の話として、「試行試験」には北京の官製メディアの記者や編集者ら約1万人が参加すると伝えた。

 試験内容は(1)習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想(2)習近平総書記の宣伝思想工作に関する重要思想(3)マルクス主義の報道観(4)報道の倫理と政策法規(5)報道の取材編集業務-の5分野だ。

 試験は各報道機関が指定した場所と時間で、各自のスマートフォンを使って行われる。時間は1時間半。120点満点で80点以上が合格だ。落第した場合は1回だけ追試が認められる。

 多くの報道関係者から不安の声が上がっているが、一部メディアによると難易度は高くはなく、多くは選択問題で「基本的な知識」を問われるという。

 「学習強国」とはどのようなアプリなのか、実際に使ってみた。

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