歓声が列島にこだました-。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で、世界ランキング2位のアイルランドに、日本代表が勝利した。代表選手の1人で、殊勲のトライを決めたウィング、福岡堅樹選手の出身地、福岡県古賀市でも、パブリックビューイング(PV)でファンや関係者が勝利に酔いしれた。
「勝ったぞ!」
ノーサイドの笛が響いた瞬間、PV会場の同市生涯学習センター「リーパスプラザこが」に集まった約200人は、腕を突き上げたり抱き合ったりして喜びを分かち合った。過去の対戦は日本の9戦全敗。10度目の挑戦で厚い壁を破った。
前半は、立て続けにアイルランドにトライを決められる苦しい展開だった。それでも、タックルが決まったりパスがつながったりするたびに、大きな声援が送られた。スタンドオフ、田村優選手がペナルティーキックを蹴ろうとすると、PV会場も試合会場と同じように静けさにつつまれた。
小刻みに点を返す代表に後半、好機が訪れる。途中出場した福岡選手が走り込み、トライ。逆転した瞬間、会場には絶叫が響いた。福岡選手の父、綱二郎さん(61)も「よくそこにいてくれた!」と拳を握りしめ叫んだ。
その後も、アイルランドの猛攻を必死のディフェンスで防ぐ。残り10分、後5分。会場のボルテージは、歴史的勝利への期待にぐんぐんと上がっていく。
勝利の瞬間、この日一番の歓声が響いた。福岡選手の母、のぶさん(55)は今朝、福岡選手から無料通信アプリLINEでメッセージをもらっていた。
「まだ内緒だけど、今日、リザーブ(控え)でベンチに入っているから」
いつも通り、「頑張って」と返した。代表を勝利に導くトライをあげた自慢の息子。万感の思いを込めて、「おめでとう」と送った。(中村雅和)