ラグビー私感

先人の思い引き継いで 松永敏宏さん

慶応大で主将を務めた松永敏宏さん(左)
慶応大で主将を務めた松永敏宏さん(左)

 歴史的な勝利を挙げた28日の優勝候補・アイルランドとの一戦は、とにかくすごい試合だった。後半、福岡堅樹選手が逆転のトライを決めたときは、思わず目頭が熱くなった。

 私はリーチ・マイケル主将が大好きだ。彼の「自分を育ててくれた日本に恩返しをする」という強い思いは、「世の中の先輩方に恩返しをする」という自分のミッション(使命)にとても近い考え方だからだ。途中出場したアイルランド戦でも、リーダーシップはもちろん、献身的なタックルやブレークダウン(タックル後のボール争奪戦)には本当に頭が下がった。

 また、個人的にはナンバー8の(アマナキ・レレイ・)マフィ選手とフランカーのピーター(・ラブスカフニ)選手をひいきにしている。なぜなら、彼らの誕生日が私と同じだからだ。こんな偶然もめったにないことなので、勝手ながらご縁を感じて応援している。

 今年、初めてW杯が日本にやってきてくれたことに感謝するとともに、多くの先人たちを思い出す。私の恩師である上田(昭夫)さんをはじめ、宿澤(広朗)さんや石塚(武生)さん、そして同期である平尾(誠二)君。若くして亡くなられた彼らのラグビーに対する思いや献身的な行動があったからこそ、このように素晴らしいW杯を目の前で見せてもらえていることを忘れてはならない。

 この世に残されたわれわれは、先人たちの思いを引き継ぎ、日本のラグビーをよりよいものにしていかねばならないと思う。まずは、とにかくサモアとスコットランドに勝ち、当初からの目標であるベスト8、いやそれ以上を達成してもらいたい。

 サポーターの声援が後押しになるのは間違いない。これ以上応援できないというところまで、一緒に日本代表を応援しよう。(昭和59年度慶応大卒、元日本代表)

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