朝晴れエッセー

カレーライス・9月29日

おふくろが亡くなって今年で17年。

おやじを先に見送り、すべての仕事を終えるように旅立った。84歳だった。

5人の子供を育て、10人の孫にも恵まれ、幸せな人生だったのでは、と自分勝手にほくそ笑んでいる。

私は5人兄弟の末っ子で、兄が3人と姉が1人いる。今では多いほうだが、昭和の20年代では普通だった。

あの時代はみんなが貧しかった。でも不思議と満たされていた。学校から帰ると、ランドセル(もちろん兄貴のお下がり)を上り口にほうり投げ、一目散で遊びに行ったものだ。腹を空かして帰って来ると、いつもおふくろがおこげで握ったおにぎりやふかしたさつまいもを作ってくれた。おふくろの愛情がこもっていて本当においしかった。

ある時、おふくろは見たこともない料理を出してくれた。ご飯の上にどろどろとした黄色い液体が乗った食べ物だ。中にはじゃが芋とにんじんがごろごろしていて、お肉が少しだけ入っていた。その時それがカレーライスだと初めて知った。あまりのおいしさに感激したのを今でも覚えている。

先日、息子が修理工場を営んでいる姉の家へ行ったとき、あの懐かしいおふくろの味のカレーライスを出してくれた。いつも月初めの営業日に、従業員に食べさしているそうだ。何十年ぶりに食べるおふくろの味だった。姉はあの味を引き継いでいてくれたのだ。

前田 行廣 71 京都市西京区