安全保障は国の根幹だ。国際情勢が複雑化する中、ここに確固たる理念と具体策を持たない政党に政権を託す機運は、もはや起こりづらいのだ。
今回の統一会派の協議でも、安全保障や憲法改正など政策面での意見統一はなされなかった。こうした無責任な姿勢が、世論調査で野党の支持率が低迷し続ける要因ともいえる。
「現実的な安保」におびえた自民
野党は政権を再び目指すためにはどうしたらいいのか。ヒントは旧希望の党が掲げた「踏み絵」にある。
安倍首相は29年9月25日に衆院解散を正式表明したが、同じ日に小池氏は希望の党の設立を正式表明した。旧民進党の議員を同党に吸収したうえで、与党に対抗しうる候補者を立て、政権を一気に奪おうとした仕掛けだった。
ただ、防衛相の経験もある小池氏は、政権を担う上で現実的な安保政策が不可欠と考えていた。足並みをそろえる手段として考えたのが、民進党議員に入党条件としてサインを求めた10項目の政策協定書だ。
協定書には「党への資金提供」など下世話な内容もあったが、既存の安保関連法は「憲法に則り適切に運用し、不断の見直しを行う。現実的な安保政策を支持する」と明記。当初案には、関連法を「基本的に容認」とも記していた。憲法改正に至っては「憲法9条を含め改正論議を進める。自衛隊の存在を含め時代に合った憲法の在り方を議論する」と明確化した。