日米貿易協定に署名 首相「ウィンウィンの合意」

 【ニューヨーク=飯田耕司】安倍晋三首相は25日昼(日本時間26日未明)、米ニューヨークでトランプ米大統領と首脳会談を開き、新たな貿易協定の最終合意を確認する文書に署名した。世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める両国の貿易の拡大が期待される。10月に始まる臨時国会で協定案が承認されれば、年内にも発効の条件が整う見通し。

 協定に署名した首相は、「発効すれば投資が増え、両国の経済関係は発展する」と述べた。トランプ氏は「公正かつ互恵的な協定だ」と話した。

 新協定は、日本から輸出する自動車についての2・5%の関税撤廃を見送る一方、撤廃を継続協議していく。また、今回の協定締結中は、米国が日本車に追加の高関税や数量規制を発動しないことが共同声明に盛り込まれた。

 このほか、エアコン部品、燃料電池は関税を即時撤廃。工作機械については2年目での撤廃が決まった。自動車部品については、自動運転車や電気自動車の普及で、部品点数やエンジン構成が変わる可能性が高いことから、現時点では決めずに継続協議とした。

 一方、農業分野に関しては日本は、米国産牛肉、豚肉などに対する関税を、昨年末に発効したTPP水準まで一気に引き下げることで米国側に譲歩。牛肉については、現在の38・5%から最終的に9%になるほか、緊急輸入制限(セーフガード)の発動基準も緩和した。

 一方、日本がかつてTPPで米国に認めたコメの無関税枠7万トンについては枠そのものを設定しなかった。バターや脱脂粉乳についても低関税枠は設けない条件を引き出した。

 今後、10月の臨時国会での承認手続きを経て、今年度からの早期発効を目指す。共同声明には、協定発効後から4カ月後に包括的な協定に向けた交渉を始めることも盛り込まれた。

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