朝晴れエッセー

ありがとう我が愛車・9月26日

夏の暑さも和らぎ、少し秋らしくなった日に、車を洗うために1年ぶりに、少し離れた洗車場へ行った。その気になったのは、定期点検に行ったところ、担当の方に「ずいぶん汚いですね」とドキッとするようなことを言われたからである。

これまで車をきれいにするということに、あまり関心がなかった。ともかく安全に走ることができればOK、という思いが強かったのかもしれない。それに加え、単身赴任生活が長く続いたため、たまに帰省したときは、洗車にまで手が回らないというのが正直なところであった。本年の春に、定年退職をしてその後は毎日が日曜日となった。洗車にも時間を十分にかけることができる余裕が生まれた。

シャンプーをし、ワックスを塗り、拭いてゆくといろいろな細かい部分が見えてきた。知らない間についた無数の傷や汚れた部分が多くあった。この10年間、本当によく走ってくれてきたのだなあ、と改めて感慨深く思った。

いとおしい気持ちがわいてきた。「愛車」という言葉があるが、初めてその言葉が頭の中に浮かんできた。今日からは心を入れ替えて接しよう。そう、車に語りかけながら、隅々まできれいにしたところ、かつての光が戻ってきたようである。車も少し喜んでくれたような気がした。今更ではあるが、糟糠の妻みたいなものだ。走行距離はすでに10万キロを超えている。心を入れ替えた私に、もう少しだけつきあってもらえるかな。

神戸市西区 渡邉太郎 65