主張

中露の大規模演習 蜜月「同盟」に警戒強めよ

 ロシアが同国南西部で総勢12万8千人の大規模軍事演習を行った。中国やインド、パキスタンなど計8カ国が参加する多国間演習だった。

 注目すべきは、昨年に続いて中国が参加したことだ。中国軍は1600人、航空機約30機を派遣した。

 中露が軍事面での連携を一段と強化している証左といえる。同盟ともいうべき接近を警戒しなければならない。

 中露は2001年、善隣友好協力条約を結び、軍事協力、国連安保理での協力を図っており、準同盟ともいうべき関係にある。さらに接近したのは、英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を選んだ2016年6月だ。英国のEU離脱による欧州の弱体化につけ込んだ。

 投票直後に行われた中国の習近平国家主席と、露のプーチン大統領の2度にわたる会談で、ロシアはクリミア併合とウクライナ侵攻、中国は南シナ海、尖閣諸島、台湾、チベット、新疆ウイグルの領土保全という「核心的利益」を相互に支持することで合意し、結束を深めた。

 南シナ海をめぐり、ロシアは仲裁裁判所の判断を無視する中国の姿勢を支持し、同年9月、中露は初めて南シナ海で合同演習を行った。17年7月にはバルト海、9月に日本海とオホーツク海で合同演習を実施した。

 18年には極東やシベリアで大規模な合同演習を行った。今年7月には竹島(島根県)付近の日本領空をロシア機が侵犯し、その近くを中国軍機が飛行していた。両国は初の「共同警戒監視活動」を行ったと宣伝した。軍事的連携が新段階に入ったとみるべきだ。

 安倍晋三首相がプーチン大統領と会談を重ねながら、北方領土問題を含む平和条約締結交渉が停滞した背景には、ロシアが対中接近を優先した事情があったと考えるのが妥当だろう。

 かつて中国は「千島は日本に返還されるべきだ」との立場だったが、今は「第二次大戦の結果は尊重される」との表現でロシアに与(くみ)している。6月には、習主席がプーチン大統領と、貿易決済を両国通貨で行うことで合意した。基軸通貨ドルの座を揺さぶって米国に挑戦するねらいがある。

 「力による現状変更」を追求し、日米離間もねらう中露両国の行動を直視する必要がある。

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