希少がんと共に生きる

宮川典子議員が残してくれたこと がん検診推奨は使命

 声をかけられた当時は抗がん剤治療中だったため、吐き気、倦怠(けんたい)感、手足のしびれなどの副作用に悩まされていた時期でもあった。仕事に復帰しても、今ひとつ軌道に乗り切れない自分にいらだつこともあった。

 そんなときに、話しかけてくれたことにうれしく思い、感激した。その後、すれ違うたびに言葉を交わすようになり、「元気ですか」と気にかけてくれた。いつから乳がんに罹患したのか知る由もないが、がんの苦しみを分かっているからこそ、わざわざ話しかけてくれたのではないかと思っている。

 「がんは治る時代になった」とよくいわれる。医療技術が進歩し、新薬が次々と登場する中、そういう側面があるのは否定しない。しかし、それでも日本人の死因の1位はがんだ。「ステージ4」と言われただけで、生きた心地すらしないものだ。自分のことで精いっぱいというがん患者は少なくない。ましてやほかのがん患者を励ますのは、並大抵のことではない。

 生前、宮川氏は子宮頸(けい)がんを患ったことのある三原じゅん子参院議員に「党本部の女子トイレにがん検診推奨のステッカーを貼ってもいいですか」と聞いてきたという。それが三原氏にとって最後の会話になった。がん患者を少しでも減らしたいという思いだったに違いない。