「ながらスマホ運転」厳罰化を 妻失った夫の願い 事故1年を機に被害者の会設立

 判決後に開かれた記者会見で、貴之さんは、より量刑の重い同法の危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)を、ながらスマホ運転にも適用できるように法改正すべきだと訴えた。

 貴之さんは検察から「危険運転の罪で規定された類型に該当しない」と説明を受けていた。同罪には「飲酒や薬物の影響で正常な運転が困難」「制御不能な高速の走行」などの要件があるが、スマホを見ながら運転した場合の規定はない。

 遺族側代理人の弁護士は「危険運転致死傷罪には、新たな類型が追加されてきた歴史がある。ながらスマホ運転も機が熟してきたといえる」と期待を込めた。

過失か故意か

 交通事故に詳しい高山俊吉弁護士は、過失運転致死罪(懲役7年以下または禁錮、罰金100万円以下)が過失犯であるのに対し、危険運転致死罪(懲役1年以上20年以下)は「人を殺したり傷つけたりするような危険な状態を生み出した故意犯」という大きな違いがあると指摘する。

 男は、脇見運転などで作動する居眠り防止装置の警報音を無視してまで、スマホで漫画を読み続けたとされ、貴之さんは「自らの意思で故意に長時間スマホで漫画を見ながら運転していた結果の事故が、単なる脇見運転と同じ過失運転にしかならないのは理解しにくい」と、ながらスマホ運転の故意性を強調する。

 ながらスマホ運転に危険運転致死傷罪を適用する法改正について、高山弁護士は「危険な運転を抑止する効果はある」とする一方、「スマホを見ながら運転することで、飲酒運転に匹敵するほど危険な状態が頻発するかを検討する必要がある」と話す。