宮家邦彦のWorld Watch

日米欧三極連携は新時代へ

筆者は欧州を批判するつもりはない。「欧州に潜在的脅威はロシア一国かもしれないが、日本には中露という二つの脅威が実存する」と述べたが、欧州側から反論はなかった。これが実態である。

2日目の会議では中国との経済関係が議論された。日米欧の中国経済離脱の可能性という恐ろしいお題だったが、議論は大きく割れた。経済のグローバリゼーションは不可避だが、だからといって中国経済からのデカップリング(分離)が不可能とはかぎらない。中国が態度を変えて国際ルールに基づく経済・貿易政策を採用するなら良いが、これまでの対中政策が全て失敗したことも事実だ、云々(うんぬん)…。安全保障はもちろんだが、経済・貿易面でも特効薬はなさそうだ。

それでは今後日米欧三極はどうなるのか。2日間の議論を通じ、対中関係の面からもやはり三極連携は重要だと痛感した。今の欧州は内向きで内部のごたごたが絶えない。一方、米国もトランプ政権の下で迷走が続く。しかし、というか、だからこそ、今日本はグローバルな三極連携、特に欧州の東アジア関与、を深めるべきなのだ。

【プロフィル】宮家邦彦(みやけ・くにひこ) 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

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