ラグビーW杯 花園の芝は待っている 「開幕戦」整備急ピッチ

 一方、W杯は9月22日にスタートするため、今年の種まきは8月19日。わずかな違いだが、気温が高いほど夏芝は成長が進み、冬芝は鈍る。唐仁原さんは開催が決まった4年前から、種まきを早めて成長度合いを確認するなど試行錯誤を重ねてきた。

 今年は長梅雨による日照不足で夏芝の成長が思わしくない。そのため、冬芝を強化する方法に切り替え、肥料と夏芝の成長を抑える薬剤を併用し、夏場は育ちにくい冬芝の成長を早めることで苦境を乗り越えた。8月のW杯主催者のテストにも合格したが、「天候などをみて、リスクがあれば先手、先手で対応しなければ」と気を緩めない。

 近鉄の駅員からグラウンドキーパーに転じて8年。常に花園の芝と向き合ってきた唐仁原さんにとってもW杯は特別な舞台となる。「プレッシャーもあるが、一生に一度の機会。試合が続けば芝は傷むが、4試合ともベストに近い状態で迎えたい」。日焼けした顔をほころばせ、22日の開幕戦を待つ。

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