70代の女性は、個人の「高齢者向けの体操教室」だとして契約したが、サプリメント付きの月額1万5千円の高額コースで、解約を申し入れても聞き入れてもらえなかったという。
◆参入障壁は低く
パーソナルジムは数年前に、会員の肉体が劇的に変化した様子を「ビフォー・アフター」形式で紹介するテレビCMを大手業者が放送し始めてから一気に知名度がアップし、急激に拡大した経緯がある。
パーソナルジム紹介サイトを運営する「トレーザップ」によると、こうしたジムは多くの人が集まる通常のジムとは違い、マンションの一室に個人用の器具さえあれば開業でき、「参入障壁は低い」という。同サイトの試算によると、パーソナルジムは5年前に比べ約10倍に膨らんでいるという。
ただ、米国ではパーソナルトレーナーとして活動するには業界団体が認定する資格が必要だが、日本では無資格でも可能。質の悪いトレーナーや強引な勧誘をする悪質店も増えているのが現状だという。
同サイトの担当者は「フィットネス市場は飽和状態に達しつつあり、少ないパイを奪い合っている。今後、質の悪い業者の淘汰(とうた)が進むだろう」と話している。
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■筋肉増強剤で重い肝障害も
筋肉の増強目的で使われている「アナボリックステロイド」による健康被害が相次いでいるとして、厚生労働省が利用実態の調査を始めた。インターネットで購入されることが多く、重い肝機能障害になったとの報告もある。深刻な影響が確認されれば、輸入を規制する方針。
厚労省によると、アナボリックステロイドは骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療に用いられ、胃炎や吐血、けいれんなどの副作用がある。治療で使う場合は医師の処方が必要だが、個人輸入する場合は不要。筋肉増強などの目的でサイトで簡単に入手できる状況になっている。
厚労省は7月から、入手経路や利用状況の調査を開始。ネットで購入できるサプリメントなどの成分を分析し、実際にアナボリックステロイドが含まれていないか確認を進めている。
国内の医療機関からは昨年、アナボリックステロイドを筋肉増強目的で使用した男性が重い肝機能障害となった事例が報告された。消費者庁にも、成分を含んだとみられる健康食品を飲んだ人から下痢やアレルギー症状の被害相談が寄せられている。死亡事例の報告はないという。