朝晴れエッセー

やっぱり切れない・9月16日

17年前植木市で買ってきた小さな煙り草(煙の木)の鉢植え。80センチぐらいの高さで幹は小指ぐらいの細いものであった。

この幹の先端にはふわふわとした煙のようで、綿菓子のような穂がつき、別名「スモークツリー」。煙り草というからかわいい「草物」かと思っていたが、なんと今では幹の太さ40センチ、高さは7メートル以上の大木となった。

5月頃には燃えるような赤い芽が出て梅雨に入ると枝葉がぐんぐん伸び、葉は濃い緑色になり手のひらぐらいの大きさに成長する。枝葉が繁りすぎて少しの風でも葉は舞い散り近所に迷惑をかけている。

今年こそ思いきってバッサリと切らねばと、3年前に買った大きなノコギリを片手にこの大木の前に座り込んだ。

しかし、切る気にはなれない。いや切らなければと、今年も3年前と同じことを考え、自問自答している。

毎年セミたちが雨の日も風の日もこの煙り草を求めて大合唱。どこからやって来るのか、他にも大きな木があるのにどうしてこの木が好きなのか、セミたちに聞いてみるが、彼らはただ鳴くばかり。もしこの木が無くなればセミたちは何処へ行くのか。毎年大きな網を持って、ワースゴイ、こんなたくさんのセミ見たことないわと大喜びの子供たちもがっかりするだろう。

秋にはとても美しく紅葉するが落葉するとただのゴミ、何の遠慮もなく所かまわず舞い散ってゆく。

まあ仕方がない。近所の皆さんにはわびることにしよう。今年も同じ言い訳で。

和田 務 84 大阪府羽曳野市