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目まぐるしい流行、生産構造上の問題から、大量の産業廃棄物が排出されているファッション業界。そんな「ゴミ」に光を当て、素材としてよみがえらせるクリエーターが台頭している。裁断された紐(ひも)状の生地、美しいまま捨てられる花…。そこに新たな命を吹き込んだオシャレアイテムが人気だ。最先端のファッション・アート見本市を訪ねると、「もったいない精神×独自のセンス」のかけ算が広がっていた。(重松明子)
4~6日に都内で開かれた見本市「rooms 39」会場で、モコモコのインテリアラグマットが目を引いた。シックな配色、触れるとふわふわだ。
「アルパカやシルク、コットン、ウールなどの天然素材で手編みしています。もとはこれ…」。デザイナーの玉木マリエパスカルさん(32)が、フリンジ状の糸玉を取り出した。生地製造の際に切り落とされる両端という。
「500メートルの生地を作れば、倍の1キロ分も出てしまう。素材自体は未使用の一級品。これは宝物ではないかと感じた。お金を払って焼却処分されているという現実を知り、見ていられなくなった」。工場から引き取り、試行錯誤の末にラグを編み始めた。
1年前。三越銀座店で初開催した、自らのブランド「パスカル・マリエ・デマレ」の催事に出品したところ、1万~3万円台のラグ40点がほぼ完売。「決して安くはないのに」と玉木さん。「当初はエシカル(倫理的=環境保全や社会貢献)の意識はあまりなかったけれど、新品の廃材を活用した新しいモノづくりに、年齢・ジェンダーを問わず多くの方が共感してくれて、進むべき道が見えてきました」
予想外の需要を受けて今年5月、生産体制を整えるためにクラウドファンディングを実施。目標の倍を超える132万円が集まった。