災害時に無料通話・メールアプリ「LINE」とAI(人工知能)スピーカーを活用して高齢者を避難誘導する防災訓練が13日、伊勢市の防災センターで行われた。AIスピーカーを使用した訓練は国内初という。併せて地域の被害状況などの情報を、行政、地域の防災組織、市民がLINEを通じて集約し共有する訓練にも取り組んだ。
訓練は、伊勢湾台風並みの暴風雨に見舞われ河川が氾濫したとの想定で、LINE株式会社製のAIスピーカーを使い、被災者役の同市元町、倉野公之さん(84)と妻の孝子さん(80)らが参加した。
遠隔地にいる倉野さんの家族が、市が発信した避難情報をスマートフォンで確認し、危険であることをLINEで倉野さん夫妻に連絡。2人がAIスピーカーに「伊勢市の防災情報につないで」と話しかけると、スピーカーが避難勧告情報などを伝え、さらに近くの避難所の場所を案内し、避難することを勧めた。
LINEを使って情報を共有する訓練では、同市の宮川右岸に待機した水防団員が、災害情報を写真とともに入力。市の災害対策本部が受信し、ホームページに災害発生場所を表示した。
訓練に参加した県防災対策部災害対策課の内山敦史課長は「お年寄りは戸惑いもあったようだが、他人からの連絡ではなく家族からの連絡だと素直に即座に反応する。熟度を増して実際に利用できるようにしたい」と話していた。