浪速風

重陽の節句に中国の民を思う

いつも不思議に思うのだが、きょう9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」はあまり知られない。3月と5月は子供にかかわる節句、7月は恋愛にまつわる話だから現代にも残りやすかったのかもしれない…とは素人考えである

▶旧暦では菊の花が咲く時期なので別名「菊の節句」とも。中国から入って宮中の行事となり、奈良時代には朝廷で観菊の宴が催された。酒に菊の花を浮かべ長寿を願ったといい、その強い香りが厄をはらうと信じられた。司馬遼太郎の代表作『竜馬がゆく』にはこんな場面がある 

▶坂本竜馬の妻おりょうがすがすがしくなるという「菊枕」を竜馬のために作ろうとして、寺田屋の女将(おかみ)の菊の花を残らず切ってしまう。ところが竜馬はそれを聞いて怒った。キクを民とみて残忍さを感じ「唐土(から)の昔ばなしにある暴王に似ちょる」と涙をこぼすのだ。いっこうに騒ぎが収まらない香港では連日負傷者が出ている。何にせよ、これ以上民を傷つけてはならない。