※この記事は、月刊「正論10月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。
韓国で七月、産経新聞を含む日本メディアのソウル支局や、日本企業の系列会社がある建物にネットメディアを名乗る人物や、大学生らが不法に押し入る事件が続いた。日本政府による半導体材料の韓国への輸出管理強化で、反日感情が高まる中での出来事だ。事件を起こした者は、不法であることも省みず、
自らを英雄視しているかのようにやりたい放題を続けている。
突然の不法侵入と業務妨害
メディアへの最初の事件があったのは7月18日午前11時半ごろ(日本時間同)。ソウル市内の韓国紙の本社社屋内にある産経新聞ソウル支局に、1階の警備員から電話があった。「『産経新聞と話がしたい。産経新聞にインタビューさせろ』という男らが来ているのだが」という連絡だ。「また抗議か」と思い、仕事中だったこともあり、即座に拒否した。 数分後、支局のドアをたたく音がするや、白い韓国の民族衣装に帽子をかぶったかっぷくのいい70歳ぐらいの男が部屋に入ってきた。30代とみられるビデオカメラを持った男も一緒だった。どうやら警備員の制止を振り切ってやってきたようだ。
若い方の男は、侵入する前からビデオカメラを回し続けていたとみられる。民族衣装の男は部屋に入るや、「こちらが×××新聞の××階にある産経新聞です」とカメラに向かって勝手に実況中継を始めた。筆者は「出ていってください」「撮影しないでください」と制止しようとしたが、筆者の腕をつかんで逆に遮ってくる。その様子も撮影され続けた。
男2人の侵入当時、支局には筆者と日本人の同僚記者、韓国人の女性スタッフの3人がいた。とても仕事どころではないし、まず、話がかみ合わないし通じない。らちがあかず、筆者はいったん廊下に出て、同僚記者が一階の警備員を呼びに行った。その間、2人は支局の内部をなめ回すように撮影していたようだ。