【モスクワ=小野田雄一】ロシアで8日、州や共和国といった連邦構成体(自治体)の首長や地方議員を選ぶ統一地方選が行われた。全国的にはプーチン政権の与党「統一ロシア」が16の首長選など主要選挙で圧勝の勢いだが、首都モスクワの市議会選では事実上の敗北を喫した。
今回はサンクトペテルブルク特別市やサハリン(樺太)州など16の構成体で首長選が行われた。露主要メディアによると、統一ロシアが擁立した10人と、同党系の無所属候補6人がいずれも勝利する見通しとなっている。
ロシアでは長引く経済低迷や年金支給開始年齢の引き上げなどを受けて政権と与党の支持率が低下。昨年9月の首長選では、統一ロシアが19連邦構成体のうち3構成体で敗北した。
今回は、政権が支持基盤の弱い地域で大規模な投資計画を打ち出すなど、テコ入れを進めたことが奏功した。
反体制派候補の排除をめぐって抗議デモが起きたモスクワ市議選(定数45)では、統一ロシア系の候補が9議席の獲得にとどまり、改選前の28議席から大幅に勢力を減らした。親大統領野党の共産党が13議席、リベラル政党「ヤブロコ」が4議席、親政権左派「公正ロシア」が3議席を獲得して躍進し、残りは無所属候補が占めた。
今回の統一地方選では、プーチン長期体制や選挙不正に対するモスクワの抗議機運が、全国的な広がりを欠いている現状も浮き彫りになった。